『聖戦士ダンバイン』OP・EDシンガー MIQ(MIO)さんインタビュー(後編)
※こちらのインタビューは2024年8月に収録されたものとなります。
※話の中にある実験動画は全て『AURA BATTLER DUNBINE SIDE L(以下SIDE L)』を指しています。
2024年5月に実験動画『SIDE L』が公開され、改めて『聖戦士ダンバイン』の主題歌である『ダンバインとぶ』とエンディング曲の『みえるだろうバイストン・ウェル』が大きな注目を集めた。今回は、現在でも高い人気を誇るその楽曲たちを歌い上げたシンガーのMIQさんにインタビューを敢行。後編ではエンディング曲である『みえるだろうバイストン・ウェル』への思い、そして実験動画『SIDE L』をご覧になった感想などを中心に話を伺った。
――エンディングの『みえるだろうバイストン・ウェル』に関しては、どのような印象を持たれていますか?
MIQ もちろん、この曲も大好きです。静かに始まりながら、後半に向けてだんだん盛り上がっていく感じがすごくいい。特に3コーラス目の「瞳こらしたら……」のところから、最後に向けた盛り上がりが素晴らしい。最初に歌詞を読んだ時は、最後の「のぞけます」という歌詞に違和感があったんです。あまりないですよね。今でも特徴的だなと思いながら「これが井荻麟節だなって」って思いながら歌っています。
――「のぞけます」が「こちら側の世界からも、見ようと思えばバイストン・ウェルがみえますよ」という感じが伝わりますね。
MIQ 元々、あなたたちがいた場所で、全部が戻るところですよねと。そういう感じがする歌詞、言葉づかいが本当に特長的で凄いです。よく話題にでる「あかときいろの」というワードも印象的で。「どんな色なんですか?」って聞かれると、シンプルに赤い色と黄色なんですよって説明しています。でも、素敵ですよね。とっても綺麗な色の感じが伝わって。それも言葉の選びかたが特殊だから、いろいろと伝播して印象に残っているわけですから。それも面白いですし、曲を聴いたみなさんの思いの深さを感じます。
――これまで楽曲を歌われてきた中で、思い出に残っていることはありますか?
MIQ 一番思い出深いことと言えば、落ち込んでいて本気でこれまでの人生観に思い悩んでいたという方が、『ダンバインとぶ』を聞いて思い直せたという話ですね。気持ちが沈む中で、「恐れるな 俺のこころ、悲しむな 俺の闘志」という言葉に元気付けられて、「私を救ってくれました」と。そんな風に心に引っかかってくれたというのは凄く嬉しいですよね。『みえるだろう バイストン・ウェル』も、「聞いていると本当に未だに涙が出ます」と言ってくださる方もいて。当時の小学生から高校生くらいまでの子たちが作品を観てくださって、純粋に楽曲も受け止めてもらえて、それを今でも大切な思い出として聞き続けてもらえているというのは、とても嬉しい巡り合わせですし、すごく幸せなことだと思っています。彼らが頑張っている中で、曲を聞くことでちょっとでも助けになれたんだったら嬉しいなと。
――先日(2024年5月8日)、『ダンバインとぶ』と『みえるだろうバイストン・ウェル』の楽曲に合わせて、最新技術でオープニングとエンディングの映像をリメイクした実験動画『SIDE L』が発表されました。MIQさんもご覧いただけたということですが、どのような感想を持たれましたか?
MIQ 私にとっては、新しく研ぎ澄まされて、美しさに特化した、めちゃくちゃ綺麗な映像に、楽曲がそのままピッタリ合っているという風に感じました。新しい映像に何も違和感がない、いいリニューアルですよね。私がよく知る、かつての映像も手描きアニメの良さが出ててすごくいいとおっしゃるのもわかりますが、私は最新技術で描かれた映像も両方あっていいんじゃないかと思いましたね。
――監督をはじめとしたスタッフも強い思い入れを持って手掛けられているんですが、そうした部分は感じたりはされましたか?
MIQ その思い入れは感じます。構図やタイミングがかつての映像は素晴らしかったわけですが、その雰囲気はしっかり残っていますし、そこを継承しているのはわかります。だからこそ素晴らしいですよね。
――公式YouTubeにもMIQさんからコメントを寄せていただけましたが、そこに対してもファンの反応が熱かったですね。
MIQ 驚きましたね。皆さん、本当に熱い。皆さんが『ダンバイン』を大好きでいることの思いが未だに薄れていないということが、私のコメントに対する反応からもしっかりと確認することができたのは良かったです。それも新しい映像(実験動画『SIDE L』)があったからだと思いますね。
――実験動画『SIDE L』の映像的にはどのような部分が印象に残っていますか?
MIQ やはり、CGを使うことによって背景がもの凄く細かくて、もとの映像以上に奥行きができたなと思いました。画面の奥に向かって飛んで行くところとか、手描きとは全然違いますね。もともと綺麗な映像だったけど、それがさらに美しくなったように感じました。そんな綺麗な映像だけど、キャラクターたちが横向きに並ぶ絵は、当時のままの画角とタイミングで出てくるのはすごく嬉しかった。新作でショウたちが地上に送られたシーンもちょっとだけ出てきますけど、このままもっと全体を観たくなります。
――ちなみに、『ダンバインとぶ』を歌う時に気を付けていることなどはあるのでしょうか?
MIQ やはり、みんなを鼓舞させるような気持ちですね。そして自分も鼓舞して、元気でいないといけないなという気持ちもありますし。ライブではいつもアンコールの締めで歌うことが多いですね。
――では最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。
MIQ 『ダンバインとぶ』は、やはり私にとっては楽曲的にも総合的にも誇りを持って代表作だと言えるものです。それが、より40数年の月日を経て、青春時代の純粋な思いを絶やさず、作品や楽曲に愛を持ち続けていただいていることには本当に感謝しています。今回の新作で、また改めて注目していただけたのは嬉しいです。コロナ禍の時のちょっと閉塞感があるようなタイミングで『ダンバインとぶ』を歌う時には、「俺は戦士」のところを「みんな戦士」と歌詞を変えて歌って、みんなで気持ちを共有して応援しているという思いを持ち続けて欲しいと思っていました。まだまだ大変な世の中ですが、これからもみんな戦士として戦って欲しいですし、この曲がそうした支えになっていると嬉しいなと思っています。