サンライズロボット研究報告：コックピット編　第７回「戦闘用ウォーカーマシン」（『戦闘メカ　ザブングル』より）

指南講座

2025.07.18

第7回「戦闘用ウォーカーマシン」

◆戦闘メカとは何を意味するのか？

　一般的なウォーカーマシンのコックピットについては前回までに述べたとおりだが、ザブングル・タイプ、ウォーカーギャリア、ブラッカリィ・タイプなどの機種は採掘用重機ではなくウォーカーマシン同士の戦闘に重きを置いた設計となっている。つまりこれが「戦闘メカ」の意味であり、従来我々が見てきたロボットアニメにおけるロボットに近い存在とも言える。

　しかし、そのコックピットは他のウォーカーマシンと同様にハンドル操作であり、簡易ベッドすら用意されている。戦闘メカであってすら日常生活から逃れることはできない、というのは監督である富野由悠季氏の持論なのだろうが、こういう細かな描写があってこそ視聴者は惑星ゾラに生きる人々の生活を想像できるし、物語を支える世界に深みを与える要素となっているのもまた事実である。単に敵と戦うだけのメカではない、西部劇におけるガンマンのような人間臭さがそこにはある。

◆ザブングル・タイプのコックピット

ブングル・スキッパーとブングル・ローバーからなるふたつのメカが合体することでザブングルになる。当然ながらコックピットはそれぞれに設置されており、合体するとブングル・スキッパーのコックピットシートはザブングルの頭部へと移動するようになっている（明確に設定画には描かれていない）。しかし、ブングル・ローバーのコックピットは密閉状態となってしまうなど構造的な欠陥も多い。また、複雑すぎる変形機構や機体構造のためシビリアンには維持整備が難しく、ジロン・アモスの搭乗機は早々に破損して変形合体が不可能となった。比較的サイズに余裕のあるブングル・スキッパーのコックピットには後部に簡易ベッドが設置されており、居住性も確保している。なおブラッカリィ・タイプのコックピットはザブングルと同じ設定とされている。

◆ウォーカーギャリアのコックピット

ザブングル・タイプの特徴であった合体変形機構をよりシンプルにし、ウォーカーマシン形態での機動性を大幅にアップしたのがウォーカーギャリアである。ザブングルでは3ヵ所にあったコックピットは、頭部と下腹部の2ヵ所のみとなり、それぞれの操縦席と銃座というシンプルな構造となった。ギャリィ・ホバーの後部には簡易ベッドの設定があり、より戦闘的に進化したウォーカーギャリアであっても居住性を確保していることがわかる。おもにチルが操縦を担当したギャリー・ウィルにはチャイルドシートも設定として描かれていた。