サンライズロボット研究報告:コックピット編 第8回「惑星ゾラのその他のマシン」(『戦闘メカ ザブングル』)
第8回 「惑星ゾラのその他のマシン」
◆アイアン・ギアーのコックピット(艦橋)
惑星ゾラの多くは岩場や荒野であり、道路や草原といった平坦な場所はほとんど存在しない。そのため車輪による移動が難しく、移動手段としての乗り物にはウォーカーマシンのような歩行メカや、低空を移動できるホバークラフト機構が採用された。
ランドシップは交易商人たちが使う大型の陸海両用艦の総称であり、様々なサイズや艦種が存在する。中でも超大型のウォーカーマシンに変形可能なアイアン・ギアー級が有名だが、そもそもそんな機構が必要なのかどうかについては議論が尽きない。ランドシップは交易商人が一族郎党を連れて各地を回る商船でもあり、彼らにとっては我が家同然の存在である。その性格上、ほとんど貨物船に近い構造をしており、固定武装を搭載するものの、艦体の多くは貨物室に割かれている。シップという名称からもわかるとおり、そのコックピット(というか艦橋)は旧世紀時代の海洋艦船によく似ており、取手のついた操舵輪まで設置されている。艦の規模に応じて広さは異なるが、指令室を兼ねているため通信装置や航路図確認用の大きなデスクなどが配置される。アイアン・ギアー級の場合はさらにエレベーター式の観測場やペリスコープ、簡易ベッドなども備えられていた。
アイアン・ギアーの艦橋 設定と美術ボード。ほかのランドシップも基本的には同様に艦船を模した構造をしている。シビリアンには解析不能な機械部品や機構が多く使われており、これらの修理や部品交換はイノセントに頼るしかなかった。ラグとチルの部屋は、元はエルチの部屋だったらしく文化的な装飾が施されているところが興味深い。
◆小型ウォーカーマシン レッグ・タイプ、ホッグ・タイプ
ゾラには、ひとり乗りの小型ウォーカーマシンも存在する。我々で言うところの原チャリみたいな感覚だろうが、これにふたり以上で乗ったり荷物を満載にして運んだりとシビリアンもやっていることはほぼ同じである。コックピットにあるのはレバー型ハンドルとペダルのみで、本格的なウォーカーマシンに比べると操縦方法も簡略化されているのがわかる。
◆その他のマシン ホバギー、アンクル
個人単位での移動手段として普及しているのがホバギーで、これはホバー移動するバイクのようなものである。操縦の方法やコックピットの構造もバイクに近く、一度操作方法を覚えてしまえば直感的に操縦することが可能となっている。ウォーカーマシンではペダルに足が届かないチルですら操縦可能なことからも、この世界では一般的な乗り物であることがわかる。ラグ・ウラロたち盗賊集団サンドラットが使用するタイプ以外にもいくつかの機種が存在しており、その利便性の高さから一般に広く普及している。ホバギーの機動性は惑星ゾラの環境には非常にマッチしているようで、同様の大型ローター機構がウォーカーギャリアやブラッカリィの背部にも搭載されている。
アンクルは、ホバギーよりコンパクトではあるが、ローターが2基となり飛行時の安定感が増している。
これらのサブメカやコックピットのデザイン・設定の多くは出渕裕氏が手掛けていた。出渕氏のラフデザインをもとに、外観デザインや設定へのクリンナップ作業を湖川友謙氏が行っていた設定も存在する。
ホバギー&アンクルの新規塗起こしカラー設定画。
◆ウォーカーマシンのコックピット、総括
ウォーカーマシンのコックピットは基本的に重機と同じようなもの、というのが結論であり皆がすでに共有している周知の事実でもある。ハンドル操作であの動きは無理だろうとか、人型兵器がガソリンで動くかなどの諸問題は本編映像中でもハッキリと「アニメだからいいのだ」ということで結論が出てしまっている。『戦闘メカ ザブングル』の魅力はそういった詳細なメカ設定のウンチクにあるのではなく、登場人物たちの力強い生き方や彼らの情熱にあふれた行動力そのものにあるからだ。
では、今回の研究報告書の総括をどうするのか。
個人的なことで恐縮なのだが、長いあいだ疑問だったことがある。
「ザブングルは男の子!」というセリフ、これに対する疑問である。これについて湖川友謙氏と話す機会があったので聞いてみた。以下、その要約である。
研究員:湖川さん湖川さん、「ザブングルは男の子」ってセリフあるじゃないですか。
湖川氏:うん、あるね。
研究員:じゃあウォーカーギャリアは女の子ですか?
湖川氏:……は?
研究員:ですからね、ザブングルが男の子って……。
湖川氏:いやそこはわかった。それでなんでギャリアが女の子になるんだよ。
研究員:ギャリアって女の子っぽいなと。なんと言うか全体のプロポーションが。
湖川氏:ギャリアはマッチョな男の体型だろう、どう見ても。
研究員:このなんと言いますか、箱型のザブングルに比べると全体的に曲線で構成されたギャリアはどことなく女子の陸上選手のような印象を受けるんです。ジョイナーみたいな。(※フローレンス・グリフィス=ジョイナーはアメリカ合衆国の陸上競技選手)
湖川氏:ははあ……君の言うことが少しわかってきた。女の子と言っても筋肉質で運動選手のような人のイメージというわけだ。
研究員:そうです。デザインをするときにそういう意識はあったんでしょうか。どこか女性的であるという。
湖川氏:ない。まったくない。
研究員:えー。
湖川氏:ウォーカーマシンっていうのは建設作業用重機がイメージ元なんだよ。そういう機械は男性的な力強さの象徴だし、男の子が大好きなメカだろう? 当然ギャリアも男の子のメカだし、あれは男性的なデザインだと思う。でも君の言う陸上選手の女性のイメージというのも何となくだが理解はできる。そんなことを言うやつは今までいなかったけれど(笑)。
研究員:そ、そうですか。では「ウォーカーギャリアも男の子」ということですね。
湖川氏:そうなるね。というか普通はそう思うだろう。
以上、現場よりお伝えしました。
結論は「ザブングルは男の子! ウォーカーギャリアも男の子!」です。
コックピットとは何の関係もないが、ここでしか発表する機会がなかったのでこれを総括とさせていただきます。『戦闘メカ ザブングル』は、実験動画 SIDE R 今秋公開に向けて様々なアプローチで盛り上げていきますので是非ご期待ください!
※参考資料
戦闘メカ ザブングル オフィシャルサイト
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商品情報
〇プレミアムバンダイ『戦闘メカ ザブングル』関連商品ページ
https://p-bandai.jp/chara/c2654/?page=1&n=60&C5=AA&sort=1
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HI-METAL R ウォーカーギャリア(サンライズ スピリッツ)
https://p-bandai.jp/item/item-1000210846/
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