第3回:パターン破りのザブングル
『戦闘メカ ザブングル』は、しばしば「掟破りのザブングル」「パターン破りのザブングル」と呼ばれます。そもそも三日限りの掟を破っての仇討ちというジロンの行動に端を発する物語であることも一因ですが、それだけではありません。
まず主人公ジロン・アモスの、ロボットアニメ主人公にあるまじき饅頭顔。そのルックスは前代未聞で、ある月刊誌の新番組を紹介する記事に「これはパロディではありません」と注釈が添えられたほどです。
主役メカは唯一無二であることが常識であった時代に、のっけから2台存在するザブングル、さらに中盤で新型のウォーカーギャリアに主役メカの座を奪われるという展開も、史上初でした。新オープニングの、ザブングルの前にギャリアが降り立つラストカットには、誰もが度肝を抜かれました。
シリアスなドラマにユーモラスな動きや演出を取り入れ、時には「私、ヒロインなのに!」「マンガだからね!」などといったメタ発言が飛び出すことも多々ありました。「パターン破りのザブングル」も劇中の台詞です
そうした既存の通念や因習を跳ね飛ばす勢いとパワーが、本作にはあったのです。

