調査研究局

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RESEARCH & INVESTIGATION DEPARTMENT

映像や設定資料を紐解いた研究成果や、作品をより深く理解できる研究記事を公開しています。

サンライスロボット研究報告:コックピット編 第18回「ダイターン3」(『無敵鋼人ダイターン3』より)

第18回「ダイターン3」

 

 

◆リアリティよりもスタイリッシュ優先!

 変形合体をする巨大ロボットアニメの中にリアリティを求めたのが『無敵超人ザンボット3』なら、この『無敵鋼人ダイターン3』は娯楽としてのロボットアニメを追求した傑作である。なぜ変形するのか、なぜ合体するのかといった理屈はひとまず置いておき、それがカッコイイかどうかを優先した描写がとてつもなく魅力的なのが特徴でもある。異星人の遺物であるザンボット3とは異なり、ダイターン3は地球人の設計によるスーパーロボットである。敵も異星人ではなく機械化された人間であり、実は物語の枠組み自体は荒唐無稽なものではない。そうした中で描かれるダイターン3のコックピットには、どのような特徴があるのだろうか。

 

ダイターン3はダイファイター、ダイタンクの3つの形態への変形を可能にした巨大ロボットである。身長120メートル、重量800トンの超巨大メカだが、その戦闘スタイルは格闘戦がメインとなり画面を所狭しと暴れまわる武闘派ロボでもある。破嵐万丈の呼び声とともにどこからともなく現れるのがダイファイターで、万丈はマッハ・アタッカーに搭乗したままダイファイターに格納される。ダイタンクは陸戦用の形態だが、この状態でも走行速度は時速200キロにも及ぶ。

 

 

◆愛車が飛行機へと変形し、コックピットとなる構造

 破嵐万丈の愛車であるマッハ・パトロールは全長5.8メートル、重量3トンという巨大なクルマである。現実世界でこれに近いサイズ感なのはメルセデスベンツのGクラスだが、マッハ・パトロールが最高出力1000馬力に対して400馬力弱という点で動力性能は大きく見劣りする。ともかく、戦闘機形態であるマッハ・アタッカーへの変形機構を備えた万能マシンであり、ダイターン3の小型版とも言えるほど便利に使えるアイテムでもある。

 窮地に陥った万丈は「ダイターン、カムヒアー!」と叫ぶと同時に自身が身につけているダイターン・ペンダントのボタンを押すことでダイターン3を召喚できる。ダイファイターの形態で飛来したダイターンに対し、万丈はマッハ・アタッカー(ダイファイターが飛行しているため飛行しないと届かない)のまま接近。ダイターン・ロックで相対速度を自動調整したのちにドッキングする。ドッキングしたマッハ・アタッカーは操縦席ブロックのみが分離され、そのままダイターンの内部滑走路に移動。機体内の通路を驀進して頭部コックピットへと配置されるのである。

 ザンボット3では機体ごとに凝ったコックピット周辺のギミックが設定されていたものの、ダイターン3ではそうした詳細な設定は見られず作劇上でのテンポやスピード感を重視したようなシンプルなギミックになっている。特に巨大ロボットへ乗り込む過程を自動ユニット化したという点が目新しく、ロボットの見せ場でありながら簡略化するという矛盾を見事に解消している。

 

 

マッハ・パトロールの設定画。クーペスタイルではあるが、全長5.8メートルは現実世界における全盛期(1960年代)のアメリカ車以上のサイズである。ドアらしい分割線はあるものの乗降はキャノピーをスライドさせて行う。武装も搭載されており、ダイターンを召喚するまでもない場面では頼れる相棒として活躍している。一人乗りではなく複数人が搭乗可能という点もいろいろと便利な機能と言えるだろう。

 

 

マッハ・アタッカーの設定。クルマが変形した戦闘機のため、飛行機としてはかなり小型の部類(全長7.9メートル)と言える。バルカン砲やミサイルなどの武装を満載する物騒な戦闘機だが、メガボーグを相手にするにはやや力不足であった。万丈が召喚したダイファイターに空中でドッキングする。右はマッハ・パトロール(つまりマッハ・アタッカーでありダイターン3でもある)のコックピット内部の美術ボード。クルマなのだが運転席は万丈専用の単座となっているのが面白い。後部には数人は乗れそうなシートもあり、キャラクター同士の掛け合いが魅力であった本作ならではの舞台装置とも言えそうだ。

 

 

 

 

 

破嵐万丈が持つダイターン・ペンダント。召喚には「ダイターン・カムヒアー!」の掛け声とともに中央のボタンを押す。この「ロボットの名を叫んで呼ぶ」という搭乗形式は後に『機動武闘伝Gガンダム』(1994年)や『THEビッグオー』(1999年)などにも受け継がれた。

 

 

 

◆ダイターン3への格納

 ダイファイターの後部ハッチよりドッキング用のガイドビーム(牽引ビーム?)が発射され、マッハ・アタッカーが固定される(ダイターン・ロックと呼ぶ)。機体内部に格納された後、操縦席がブロックごと取り外され、そのままダイターンの機体内に設置されたレールへと移動する。コックピット・ブロックはジェット噴射によって高速移動し、ダイターン3の頭部へと到達するのである。破嵐万丈にとって身近で便利な移動手段であるマッハ・アタッカー(マッハ・パトロール)から降りることなくそのままダイターン3へと移乗可能というのがこのコックピット・システムの特徴と言える。     機体内部を高速移動するという発想も全長が120メートルもある巨大ロボットならではと言えるし、合理的かつビジュアル的にも文句なしにカッコイイ。こうした移動シークエンスは後に富野監督自身も『伝説巨神イデオン』(1980年)でも採用しているほか、庵野秀明監督による『トップをねらえ!』(1988年)などでも描写されている。

 

 

マッハ・パトロールとマッハ・アタッカーの内部図解(透視図)

ダイターン3の内部図解は、当研究所内でも詳細に研究報告がなされているので参照されたい。(https://roboken.sunrise-world.net/laboratory/detail/?id=9642

 

 

◆ダイターン3のコックピット総論

 ダイターン3はカッコ良さだけを追求したロボットであると冒頭で述べたが、詳細を見ていくとダイターン3のカッコ良さを支えるギミックには相応のリアリティと考え抜かれた簡略化のバランスが存在することに気づく。乗っている愛車が飛行機に変形してそのまま巨大ロボットのコックピットになるという荒唐無稽な機構は、作劇上のテンポの良さを表現するためにも必須なギミックであるし、ロボットの変形そのものに伴うコックピットの移動に尺を使うことなく玩具的な面白さを盛り込むことにも成功している。ダイターン3の玩具はもちろんだが、確かにマッハ・パトロール(もちろんマッハ・アタッカーにも変形する)の玩具も欲しくなるのが男の子というものだろう。

 『ダイターン3』のメカにおける洗練されたコックピットのギミックは、翌年の『機動戦士ガンダム』(1979年)におけるコア・ブロック・システムの原型とも言えるのかもしれない。

 

 

 

 

◇次回予告

宇宙の何でも屋「竹尾ゼネラルカンパニー」の若社長が乗込むガバール星のオーバーテクノロジーで作られた巨大ロボット。そのコックピットについて研究していく第19回「トライダーG7」編へ続く。

 

 

※参考資料

 

無敵鋼人ダイターン3 オフィシャルサイト

https://www.daitarn3.net/

 

プレミアムバンダイ サンライズストア

https://p-bandai.jp/sunrise-store/?srsltid=AfmBOoryptROL3YPtljiWysJUMJJHfKv-fCXZ63PoEQ1VWrOE86GjaA6

 

 

〇サンライズ50周年プロジェクト 公式サイト
https://www.sunrise-inc.co.jp/50th/