第20回「ダイオージャ」
◆小細工不要! 最強ロボのコックピット
本作『最強ロボ ダイオージャ』が放映された1981年といえば『伝説巨神イデオン』や『太陽の牙ダグラム』が放映された年でもある。ロボットアニメ全盛期とも言える時期であり、たとえば他にも『太陽の使者 鉄人28号』や『黄金戦士ゴールドライタン』、『百獣王ゴライオン』など後世にも評価される名作が数多く放映されている年でもあった。こうした中で『無敵ロボ トライダーG7』の後番組として始まった『最強ロボ ダイオージャ』は、ロボットそのものの魅力だけでなく、時代劇の要素を取り入れることで新しいフォーマットを切り拓こうとした意欲作である。これが登場したらそのエピソードが終わってしまう「最強ロボ」のコックピットとは、どのように描かれていたのだろうか。
星間国家を統べるエドン国王家の象徴的ロボット、それがダイオージャである。エースレッダー、アオイダー、コバルターの三体のロボットが変形・合体することでダイオージャとなる。専属パイロットはそれぞれエドワード・ミト王子、デューク・スケード(スケさん)、バロン・カークス(カクさん)の三人。
◆搭乗シークエンスはあっさり風味の理由
ミト王子たちの「クロス・ソード!」の声とともに3機のロボットは召喚されるのだが、多く場合においてミト王子一行はピンチに陥っているため乗り込みには急を要する。つまりコックピットまで延々と座席ごと移動したり、降下用パイプに飛び込んだりしているヒマなどない状況なのだ。従ってミト王子とその部下たちはサッサとロボに乗り込む必要があり、必然的にその搭乗方法は手っ取り早い「フェードイン方式」となっている。これは『勇者ライディーン』に端を発するロボットから謎の牽引ビームが照射され、パイロットが機体の内部への吸い込まれていく(吸収されるように乗り込む)という描写を指す。それまでは一般人に紛れるために粗末な服装だったミト王子たちは、機体内部では正装ともとれる豪華な衣装となり、誰が見てもわかるように王家を象徴するもので全身を固めて権威をひけらかすこととなる。
ここで重要なのは、この時代のロボットアニメの主流だったコックピットに乗り込むまでの過程描写を省略したという点にある。つまり、ここで省略した搭乗シークエンスの尺を物語に使うことで、ストーリーそのものを充実させるという戦略が本作にはあったのではないか、というのが本稿における考察なのである。
ちなみに、ロボットそのものの魅力である変形・合体シークエンスは抜かりなく描写されており、ロボットアニメとしての矜持を捨てているわけではない。
ダイオージャとの比較図、および三体のロボの対比図。ダイオージャの身長は25メートルで、わかりやすく「ガンダム」のモビルスーツで例えるとサザビーより2メートル大きいだけである。誰でもわかる例えでは25メートルプールの全長であり、スーパーロボットとしてはかなり小柄であると言える。
ダイオージャの合体シークエンス。ミト王子らの「クロス・トライアングル」という声と同時に合体シークエンスが発動する。エースレッダーのコックピットはダイオージャでも頭部となるため位置の変更はない。胴体から腕部となるアオイダーのコックピットは腰部左側、脚部となるコバルターのコックピットは腰部右側へと移動してそれぞれに搭乗することとなる。変形の過程を説明した本図ではコックピットの配置はわかりにくいが、当研究所「内部図解」ではより明確に描かれているので参照されたい。
(https://roboken.sunrise-world.net/laboratory/detail/?id=9687)
エースレッダー、アオイダー、コバルターのコックピット内部。三機とも王家専用ロボットゆえか、操縦席はそれぞれ共通デザインとなる。シートのみが王族であるミト王子との差別化が図られており、エースレッダーがダイオージャの核となる存在であることがわかる。
◆むしろ敵メカにこそ拘りがあるコックピット
主役メカであるダイオージャのある意味では淡泊とも言えるコックピットに対し、では作品全体としてメカ描写に消極的だったのかというとそうではない。むしろ敵メカのコックピットにこそ個性があり、当時ゲストメカデザイナーとして参加していた出渕裕氏の才能が発揮されていたのである。敵メカと言えど星間国家を形成する同じ人類の作るメカであるから、世界観を大きく変えることもできないという制約の中でこれだけのバリエーションを生み出したことは驚嘆である。
ここで紹介するのはごく一部であるが、映像本編では背景でしかなくほとんど画面に写っていないコックピットにこれだけの設定が存在すること自体が驚異的とも思える。
コックピットのデザインには同時代に制作された『戦闘メカ ザブングル』におけるウォーカーマシンを彷彿とさせるものもあり、こうした作品間における時代性を感じるのもまた一興と言えるだろうか。
第1話登場:シガル
第2話登場:ヘルベロス
第21話登場:魔神像
第32話登場:ドン・マゲダック
第37話登場:エンペリオス・クーガー
第47話登場:領主ロボ&スマキング(タタミロボ)
◆ダイオージャのコックピット総論
『最強ロボ ダイオージャ』の魅力は若き次世代の君主が民衆の現実を知って成長する物語そのものにある。もちろんロボットアニメであるからにはロボット自体の魅力も欠かせないのだが、ザンボット3、ダイターン3、トライダーG7とロボットアニメを制作してきたサンライズとしても、ロボットのギミック自体に新鮮な魅力を持たせるにはネタ切れだったこともあるだろう。だからこそ、ダイオージャのデザインは変形・合体ギミックこそ注力されているものの、搭乗シークエンスなどは省略され簡易的な物となっている。そこで得られた余力は敵メカのデザインなどに振り分けられたのではなかろうか。敵キャラである悪い地方領主(といっても惑星の支配者なのだが)のメカやそのコックピットデザインが個性的である理由は、まさに物語を重視した結果だからに他ならない。これは時代劇の王道的ワンパターンを踏襲したことで生まれた余力を効率よく使えたという意味でも成功だったし、惑星ごとに独自の文化や民族性を持つという多様性を表現することにもつながっている。そうした物語背景をもメカデザインで伝えていると考えると、ただの勧善懲悪ロボットアニメではないところがいかにもサンライズ作品らしいとも思えるのである。
◇次回予告
次回からは『太陽の牙ダグラム』に登場する「コンバットアーマー」編をお届けします。
「Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか!?」
※参考資料
最強ロボ ダイオージャ オフィシャルサイト
https://www.sunrise-inc.co.jp/daioja/
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エースレッダー、アオイダー、コバルター3体による合体ギミックを一部パーツ差し替えにより再現。
〇サンライズ50周年プロジェクト












