第21回「コンバットアーマー」前編
◆頭部がそのままコックピットという合理性
コンバットアーマーとは戦車から派生した二足歩行(初期は多足歩行)兵器の総称である。今回はそのコックピットについての研究となるが、いわゆる人型ロボットの常識のままコンバットアーマーを考えると誤解が生じるので注意点から記しておこう。
コンバットアーマーは重力下での運用を想定しているため、ロケットなどの推進器は装備していない(※飛べない)。ジャンプは可能だが、飛行するにはハンググライダーなどを装備した特殊仕様以外は不可能となっている。特定機種以外は水中での活動もできず、多くの人が知っているモビルスーツやいわゆるスーパーロボットとは違って制約が多いのが特徴だ。作戦行動時間も機体ごとに設定されており、コンバットアーマー単体での長距離移動などは難しい。加えて惑星デロイアを覆うガス星雲、Xネブラによる電磁場障害によってレーダー類は性能が大きく制限されるため、有視界戦闘が主となる特殊環境も加わる。また機体サイズも小さく、平均しておおよそ10メートル前後とモビルスーツの約半分程度の全高では機体内部にコックピットを収納する余裕がないという点にも注目したい。
コンバットアーマー最大の特徴でもある頭部コックピットは、そうした多くの制限から生まれた合理的設計思想によるものである。非断面積が小さく、なおかつ地表から最も高い場所にあって有視界戦闘にも有利に働く。胴体に内蔵するより緊急時の脱出が簡単なことも頭部が丸ごとコックピットとなった理由の一つとなるだろう。
◆戦闘ヘリのキャノピーとの類似性
有視界戦闘が主体となる二足歩行型のコンバットアーマー(いわゆる第二世代以降)の頭部は、まるで戦闘用ヘリコプターのキャノピー(操縦席部分)をそのまま移植したような外見である。作品の外から見た場合、本作『太陽の牙ダグラム』が放送された1981年当時のロボットアニメといえば目と鼻と口がある顔のスーパーロボットが主流であり、1979年放送の『機動戦士ガンダム』において機能に由来するデザインが採用され始めたばかりという時代だった。鼻と口はともかく、目もない頭部デザインというのは非常にチャレンジングであったが、有視界戦闘が主流であれば視界の全周囲をガラス面で構成するキャノピー型を採用するだろうという合理性と、その機能美あふれる秀逸なデザインによってコンバットアーマーのコックピット=頭部は多くの視聴者に受け入れられた。特にダグラムとラウンドフェイサー(いわゆるソルティックH8)の頭部デザインは作品の世界観を表すアイコンとしても機能し、人型ロボットと登場人物たちの間のコミュニケーションを描写する際にも効果的に使われている。
ダグラムとラウンドフェイサーのコックピットハッチ。ダグラムは天面ハッチのみの開閉も可能で、ここだけ開閉して搭乗することもできた。曲面で構成されたラウンドフェイサーはキャノピーが一体型のため、キャノピーの分割開閉機能はない。
◆ダグラムのコックピット
ダグラムのコックピット詳細。ラウンドフェイサーなどと比較するとキャノピーが四角い分タイトな印象を受けるが、メインパイロットのクリン・カシムはここで待機する機会も多く、居住性はそこまで悪くないようだ。また、IDカード認証などによる手順を踏まないと起動しない保安装置も装備されており、機体強奪などへの対抗策も実装されている。
ダグラムに限らずコンバットアーマーの操縦席は緊急時の脱出装置を兼ねており、被弾時や機体が大破した際にはキャノピーを排除してシートを射出する機能が備わっている。上空に射出されたシートはパラシュートを展開し、地表へと落下する。こうした脱出装置は戦闘機や戦闘ヘリにも実装されていた装備で、コンバットアーマーがそうした兵器の延長線上にある存在だと視覚的にわかるギミックともなっている。
ダグラムのコックピット内部。コンソール類やコントロールレバー、シートなどを含めて、現代における攻撃ヘリのコックピットと類似しているのがわかる。またダグラムの頭部が人物と比較してかなり小さく、感覚としては一人乗りの自動車程度しかない点にも注目したい。ガンダムなどのモビルスーツの場合、頭部のサイズは人間よりもかなり大きく、全長が50メートルを超えるスーパーロボットの場合はさらに巨大になるため、ダグラムがいかに小型でリアルなサイズであるかが理解しやすい。ただし装甲ではなくガラス面となるため被弾した際の危険度は高く、頭部への直撃やスナイパーによる狙撃などに対しては大きな弱点ともなってしまう。
こちらのコックピットシートと脱出装置の設定画像はラウンドフェイサーのものだが、基本的に他の機種でも同様の物が装備されている。
◆ダグラムの照準器と昇降機
ダグラムに限らず、コンバットアーマーの操縦の際には照準器などの表示機能を持ったヘルメットなどが必要となる。連邦軍の場合はヘルメットバイザーに表示するタイプが多いが、反政府ゲリラである太陽の牙ではアイウェアタイプの照準器が使用されている。パイロットのクリンはこれを右目に装着し、ダグラムの各種兵装の照準器として利用していた。
また人型ロボット兵器としては小型とはいえ、全高10メートルの頭部に乗り込むためには昇降機が別途必要となる。ダグラムに限らずコンバットアーマーにはこうした昇降機が機体自体に装備されており、直立しているときに使用されることが想定されている。パイロットが使うことが多いため、一人乗り(というか片足しか乗せられない)の簡易型昇降機でしかない。機体整備の際などには複数人が行き来可能な専用ドックが別途用意される。
クリンが使用する照準器。設定画では直線的な板だが、実際には顔面に対応してある程度は曲面になっているらしい。レティクルの表示パターンも詳細に設定されている。ダグラムの昇降機は背中側の両肩付け根付近に設置されており、使用者が足場に体重をかけると自動的に巻き上がる仕組みになっている。それとは別に昇降スイッチは足首付近に配置されている。昇降機とは関係ないがかかと部分はトランクスペースとなっており、修理用の機材などを保管することができる。
◇次回予告
次回「コンバットアーマー」後編は、世代別コンバットアーマーの研究考察と総論をお届けします。
「Not even justice, I want to get truth. 真実は見えるか!?」
※参考資料
『太陽の牙ダグラム』 オフィシャルサイト
基本です。本作品に関するすべての情報はこちらからどうぞ。
〇バンダイ魂ウェブ 太陽の牙ダグラム商品一覧
https://tamashiiweb.com/item_character/dougram/#
ダグラム関連商品を集めてみました。
※限定販売品など現在では受注していない場合もありますのでご注意ください
HI-METAL R ダグラム(サンライズ スピリッツ)現在は販売終了。
https://p-bandai.jp/item/item-1000210885/?source=csearch&medium=pc
〇グッドスマイルカンパニー ダグラム関連商品一覧
ダグラムを始めとする各機種を豊富にラインアップするグッドスマイルカンパニーのプラモデルシリーズ。同スケールのフィギュアもキット化されており、劇中の人間ドラマが再現できる。
グッドスマイルカンパニー 『Get truth 太陽の牙ダグラム』関連商品
1/35 ダグラムVer.GT
太田垣康男氏によるコミック『Get truth 太陽の牙ダグラム』に登場するダグラムをビッグスケールでキット化。DXコンプリート版も発売された。
1/72 COMBAT ARMORS MAX27 1/72 ダグラム Ver.GT
太田垣康男氏によるコミック『Get truth 太陽の牙ダグラム』に登場するダグラムを1/72スケールでキット化。各部の関節可動や色分けされたプラスチック素材など、初心者でも安心の作りやすさでダグラムを再現している。
〇小学館コミック 『Get truth 太陽の牙ダグラム』著:太田垣康男 監修:高橋良輔
太田垣康男氏によって描かれる、新たな「太陽の牙」の物語。フルカラーで描かれる若者たちの戦いの日々、その最果てにあるものとは……⁉
https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784098612222
〇サンライズ50周年プロジェクトサイト
https://www.sunrise-inc.co.jp/50th/






