第24回「SPT(スーパー・パワード・トレーサー)」後編
◆SPTの操縦法
レイズナーに搭載されているフォロンのような特例はともかく、通常のSPTにもレイのように操縦を補佐したり代替してくれるコンピューターは搭載されている。これによってパイロットは複雑な操縦が不要となり、いわゆる初心者であってもSPTを操縦することは可能となった。ただし、それがそのまま戦場で通用するかと言えばそこまで甘くはなく、当然ながら戦闘には経験の差や才能の差というものが生じてしまう。とりわけV-MAXシステムのような機体にもパイロットにも大きな負荷をかける機能を使いこなすには相応の経験値も必要で、同じ機能を搭載したからすぐに有利に働くようなものではないという描写もあった。また、SPTに搭乗する際には照準器など複数の機能を有したヘルメット、あるいは簡易型の照準器が必要となる。グラドスによる地球侵攻が成功した後の時代では大気圏内での戦闘が多かったためか、エイジを始めル・カインたちもこの簡易型照準器を使用していた。
エイジが火星に訪れたときから着用していたおそらく彼専用のパイロットスーツ。ヘルメットには照準器などを含む多機能が装備されている。照準器はバイザーと一体化されているらしく、物理的な厚みはないとされている。投影される情報も内側からしか視認できず、外からは照準器の枠しか見えていない。また照準器の形状はパイロットスーツによって変わるらしく、一般用も含めていくつかのバリエーションが存在する。
◆レイズナー以外のコックピット(地球側勢力)
SPTは基本的にグラドスの技術であるため、地球側といってもグラドス製の機体である。エイジが火星に持ち込んだのはレイズナーとその兄弟機であるベイブル、バルディの3機であった。これらは地球側の戦力として使用され、後に地球製SPTであるロードテイラー(ドール)の設計にも影響を与えた。レイズナーとの兄弟機に当たるがそれぞれコックピット内部のデザインが異なっており、格闘用(ベイブル)と支援攻撃用(バルディ)というそれぞれの設計思想が垣間見える。
格闘戦を想定して開発されたベイブルはキャノピー部分の面積が少なく、被弾に耐える構造となっている。砲撃支援を想定して開発されたバルディは逆に視界が広く、コックピットからも設計思想が垣間見える。これら2機は本来はレイズナーのデザイン案だったものだが、別機体として採用され兄弟機という設定となった。これらの機体データや鹵獲機などを参考に開発された地球製SPTロードテイラー(ドール)は、その生産力の低さからかかなり簡略化されたコックピットになっている。
◆レイズナー以外のコックピット(グラドス側勢力)
グラドス勢力のSPTは機体ごとにコックピット内のレイアウトやデザインが大きく異なる。広く普及しているブレイバーの構造を基本形とするならば、グライムカイザルやブルグレンといった高性能機のコックピットではやや複雑化した操作系のようにも見える。
また逆に第二世代SPTの最新鋭機であるザカールのコックピットでは、操作系がシンプルにまとめられており、新たに搭載された新型コンピューターSAI2100系の恩恵によってパイロットの操縦負担の軽減(簡略化)されているのがわかる。
上からブレイバー、グライムカイザル、ブルグレン、ドトール、ディマージュのコックピット詳細図。キャノピータイプのハッチを持ち、頭部全体がほぼコックピットになっているのは共通している。設定ではブルグレンのみに脱出装置の機能が描かれているが、ほかの機体にも同様の脱出機能は備わっているものと考えられる。ちなみに今回はSPTのみを取り扱い、それ以外のMF(マルチ・フォーム)などは除外している。
◆SPTのコックピット、総論
コンバットアーマーと同様に、ほぼ頭部すべてがコックピットとなるSPTだが、陸戦がメインとなる『太陽の牙ダグラム』とは異なる特徴がそこにある。
宇宙での戦闘が主体となった物語序盤では、いわゆる航空機タイプの機体では真似できない超機動を見せつけ、その回転軸の中心に頭部=コックピットを置いたという点。回転の中心点であれば云々という先述の考察とは相反するが、こうした機動はアクションが派手な割に作画にかかる労力は少なく(機体が同じポーズで回転するだけだからだ)極めて効率的に動きを表現できる。
そして演出論的な視点で見れば、ほぼむき出しになっている頭部コックピットは外からも見せやすいこともあるだろう。ともすれば密閉空間で独り言を叫び続けることになりがちなロボットアニメの戦闘シーンで、敵対する相手との言葉のやり取りにおいて画面内に敵機を入れられることは効果絶大である(※ちなみにガンダムシリーズではこの問題をカットインという手法で回避している)。キャノピー越しとはいえ背景があるため動きを出しやすいし、たとえばレイズナー(フォロン)がエイジを受け入れた際に見せた行動(ハッチを開放したまま宇宙空間を近づいてくる)にも象徴的な意味合いを持たせることに成功している。
本作『蒼き流星SPTレイズナー』と『太陽の牙ダグラム』は頭部にコックピットを持つロボットが登場するアニメ作品の中でも群を抜いて完成度が高い。その機体サイズ、メカデザイン、登場人物たちの織り成す人間ドラマ、すべてのバランスが美しく均衡して作品が出来上がっている。ダグラムの重厚感、レイズナーの加速感は全くベクトルの異なる表現でありながらメカデザインそのものは似たロジックで構成されているという事実に、今さらながら驚愕を禁じ得ない。
レイズナーの魅力とはまさに「空に蒼い流星、夜の運河を滑るようだね」というオープニングテーマ曲の歌詞に集約される。そうした爽快感は、胴体内部の密閉されたコックピットでは描けない。外の世界が最も近い、巨大ロボットの頭部に乗ってこそ肌で感じられるものなのだから。
最後はル・カイン専用SPT ザカール。レイズナーの強化発展型として開発された機体。V-MAX発動時でもその威力はレイズナーを上回る。
「指南講座:コックピット編」は今回をもってひとまず終了です。次回の企画をお楽しみに!
※参考資料
■蒼き流星SPTレイズナー オフィシャルサイト
基本です。本作品に関するすべての情報はこちらからどうぞ。
■バンダイ魂ウェブ レイズナー商品一覧
https://tamashiiweb.com/item_character/layzner/
放送40周年記念!一般店頭読脚受付中の「HI-METAL R レイズナー」のご紹介はこちらから
http://https://tamashiiweb.com/tn_blog/237/
■A-On STORE レイズナー関連商品一覧
https://a-onstore.jp/search/?keyword=%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%8A%E3%83%BC
■グッドスマイルカンパニー レイズナー関連商品
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