第14回「メタルアーマー」②
◆人命重視な親切設計
脱出装置としての機能も持つメタルアーマーのコックピット(ポッド・システム)だが、狭い空間に閉じ込められる恐怖やストレスを軽減するためにレスキュー・バルーンという装置も付加された。これは円筒の先端のハッチが開き、球形のバルーンが展開するというもので、ポッド内の居住空間を広げる効果がある。宇宙空間へ放り出された上に狭い円筒形に閉じ込められるストレスは想像に難くなく、同様の状況は『機動戦士Vガンダム』では宇宙漂流刑という極刑でもあることからパイロットへの負荷も大きい。一見すると余計な機能のようでもあるが、これで救われたパイロットも多いだろうと推察できるのだ。
また、地上で運用される機体にはレスキュー・バルーンの代わりにパラシュートが装備されている。リフターなどの搭乗によってメタルアーマーの地球上での飛行が可能になったことで、その戦場は空中や海上など多岐に渡るようになり、脱出装置にも戦場に合わせた変更が加えられることになった。
◆より機能が明確になったパイロットスーツ
パイロットが着用するスーツ(宇宙服を兼ねる)もまた詳細に設定されている。それまでのパイロットスーツといえば『機動戦士ガンダム』における薄ピタの超ハイテクパイロットスーツや、それ以降の宇宙世紀に見られるゆとりのある「ノーマルスーツ」が有名でありベーシックなデザインとして認識されていた。本作でのパイロットスーツはそこからさらに発展し、与圧服としての機能を明確にビジュアル化している点が特徴だ。バックパックはスーツとは別に背負う形となり、パイプでスーツ等に接続される。固定用ストラップは胸部プロテクターなどを通して体に固定するようになっており、生命維持装置はスーツとは明確に分けられているのがわかる。スーツ本体も肩やひじ、ひざなどにプロテクターが装着され、無重力空間での不慮の怪我に留意されている。興味深いのがヘルメットで、従来でも良く見られたバイザー(キャノピー)の開閉以外に、ヘルメット前面があご部分ごと上にはね上げられるようにデザインされている点だ。バイクに乗る人であれば知っているだろうが、これはオートバイ用のフリップアップ形ヘルメットでも採用されているシステムで、帽体を着脱しなくても飲食ができたり顔にアクセスできる便利な機能である。
ドラグナーパイロットの三人に支給されたパイロットスーツは赤を基調としたカラーで、プロテクター類は白となっていた。第一話ではAIがコンバットスーツと呼称している場面があるが、それがこのパイロットスーツの正式名称なのかどうかは不明である。
ドラグナーのパイロットスーツと、その量産機であるドラグーン用のパイロットスーツは、カラーリングこそ違いがあるものの、デザインは共通のものが採用されている。また、一般兵士用のスペーススーツ(宇宙服)はやや重厚なデザインとなっており、パイロット用のものとは求められる機能や性能が異なることが見た目からもわかる。
こちらはギガノス軍パイロットスーツの設定 マイヨ・プラート用のパイロットスーツを見ればわかる通り明らかに技術レベルが高い。機能やシルエットが洗練されており、着脱の容易さなどにも気を遣ったデザインとなっているのが特徴だ。また、地球連合軍ギガノス軍ともに、背中にラウンド・ムーバーを装着することで、宇宙空間での短距離航行が可能となる。
◇次回予告
メタルアーマーには操縦法を含むコックピット内の機能についても詳細な設定が存在している。それはつまりOP映像で知られる↑→↑のレバー操作にも意味があるということで、あれが一体何を意味するのかということも説明できてしまうのだ。次回の講座ではメタルアーマー(ドラグナー)の操縦方法について考察してみたいと思う。
※参考資料
機甲戦記ドラグナー オフィシャルサイト
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魂ウェブ 機甲戦記ドラグナー
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