調査研究局

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RESEARCH & INVESTIGATION DEPARTMENT

映像や設定資料を紐解いた研究成果や、作品をより深く理解できる研究記事を公開しています。

サンライスロボット研究報告:コックピット編 第16回「メタルアーマー」④(『機甲戦記ドラグナー』より)

第16回「メタルアーマー」④

 

 

 

◆AIの実装と進化

 巨大人型兵器の操縦を一般人、ましてや少年が行えるわけがないとする「常識」に対して、作劇する側は毎回苦労して回答を用意してきた。今作の場合、アストロノーツ・アカデミーの学生であるケーンたちはある程度知識があったとはいえ、いきなりの実戦を生き延びられるとも思えない。だが、ドラグナーにはAIナビゲーションが実装されていたのである。

 AIとは人工知能を意味し、現在では画像から動画まで何でも合成して生成物を作り出すアプリとして広く知られているが、本来は人の代わりや補助をするためのプログラムという意味合いが強い。ドラグナーに搭載されているAIは機体操縦に関するサポートに特化したプログラムで、ある意味では『機動戦士ガンダム』におけるRX-78 ガンダムに搭載された学習型プログラムに近い。D-1には「クララ」、D-2には「ソニア」、D-3には「マギー」という愛称のAI(女性をキャラクターに設定)が搭載されており、素人同然だったケーンたちを補佐して、ギガノス帝国軍メタルアーマーとの初の戦闘を勝利に導いた。

 

 

 

◆脳波コントロールの功罪

 脳波コントロールと言えば『機動戦士ガンダム』(1979年)におけるサイコミュ・システムが有名であるが、あれは使用者(パイロット)に特殊な才能が必要だったために使える者が限られるという大きな欠点があった。いわゆるニュータイプの素養(あるいは強化人間)がなければ使えないわけだが、本作『機甲戦記ドラグナー』における思考制御システムは様子が異なる。バイオフィードバックシステムと呼ばれるこの思考制御システムは、操縦者である人間の思考と機体自体のナビゲーションシステムを同調させることで驚異的な操縦性の実現=圧倒的な機動性を発揮するというものであった。つまりパイロットである人間をパーツにするという思考に近く、才能や素養といったものに左右されないメリットがある。逆にデメリットとしてはパーツにされた人間に対する負荷が大きく、長時間の使用に人体が耐えられないという点が挙げられる。システムの連続使用がダメなら間に休憩を挟めばいい、という思考から生まれたインターバルタイムを設けるやり方も、その間はただの人間でしかないので機体の機動性は大きく劣化し、護衛やサポートが必要になるという大きな欠点も持っていた。こうしたシステムを装備した実例としてギルガザムネやギガノス帝国軍の機動要塞が知られている。

 

バイオフィードバックシステム専用のヘルメット。システム維持のため冷却装置が内蔵されており、接続されたチューブによって常に冷却されている。グン・ジェムが使用した物もこれの発展型で、顔が露出しているものの試作型と同様に冷却システムが後頭部に接続されているのがわかる。機動要塞にもバイオフィードバックシステムは応用されており、多くの人員が要塞の操作のためにシステムに接続されていた。

 

 

 

◆メタルアーマーのコックピット総論

 メタルアーマーはその基本構造が敵味方で共通していることもあって、操縦席を含む脱出装置であるポッドシステムも基本的には同じものが使われている。巨大人型兵器の代表的存在とも言える『機動戦士ガンダム』のモビルスーツが、機体ごとに操縦席や脱出システムが異なっている点は確かにリアリティがあるが、一方で誰でも使えるべき兵器としての利便性には欠ける。機種転換訓練にも時間がかかるし、生産性にも影響があるからだ。そして、操縦席としての機能の他にパイロットの生存性を高めるために脱出装置の役割を持たせるとなると、技術者たちはそこにあらゆる性能を追求してしまう悪癖がある。戦闘機としての機動性や強力な武装を搭載したり、それを機体に内蔵させるために過剰な変形機構を採用してしまうということだ。ガンダムのコア・ファイターがそうであるように、高性能だが量産には向かないという兵器としては失敗作となってしまうのである。

 メタルアーマーのポッドシステムはそうした過剰なスペックを搭載することなく、パイロットの生還と他機種への流用を可能にしたシンプルかつ理に適った構造を採用している。とりわけ宇宙空間における脱出装置としての機能を追求した点は、本来コックピットに求められるべき設定(描写)を先取りした先鋭的なデザインであったといえる。

 「ドラグナー」といえば見栄え抜群のオープニング映像(楽曲:鮎川麻弥/夢色チェイサー)が印象的に語られるが、こうしたメカ設定の細やかさももっと認知されてしかるべき傑作と言える。放送当時、ムーバブル・フレームが半完成品として再現されたプラモデルがキット化されたのを覚えている読者も多いと思うが、現在の技術でポッドシステムを含むムーバブル・フレームを完全再現した「新商品」が開発されることをぜひ期待したい。

 

 

 

次回 第17回「ザンボット3」はこちらから

https://roboken.sunrise-world.net/laboratory/detail/?id=9697

 

 

※参考資料

 

機甲戦記ドラグナー オフィシャルサイト

https://www.dragonar.net/

本作品に関するすべての情報はこちらからどうぞ。

 

ドラグナー関連商品

サンライズプラモコレクション 関連商品ページ

https://bandai-hobby.net/site/sunriseplasticmodelkit/

 

HG 1/144 ドラグナー1リフター1装備タイプ

https://p-bandai.jp/hobby/special-1000013643/

ドラグナー1がHGとなって新登場。地上での機動性を確保するリフター装備型を現在の技術で完全再現している。

 

HG 1/144 ドラグナー2 リフター2装備タイプ

https://p-bandai.jp/hobby/special-1000018339/

HG 1/144 ドラグナー3 リフター3装備タイプ

https://p-bandai.jp/hobby/special-1000017445/

 

1/144 機甲戦記ドラグナーセット1

https://bandai-hobby.net/item/01_4087/

1/144 機甲戦記ドラグナーセット2

https://bandai-hobby.net/item/01_4088/

 

1/144 機甲戦記ドラグナーセット3

https://p-bandai.jp/hobby/special-1000017446/

 

1/144 機甲戦記ドラグナーセット4

https://p-bandai.jp/hobby/special-1000018340/

 

 

魂ウェブ 機甲戦記ドラグナー

https://tamashiiweb.com/item_character/dragonar/#

HI-METAL Rシリーズで劇中での作画を彷彿とさせるデザインアレンジが効いた完成品のドラグナーカスタムが3機種登場。物語後半での主人公メカが同シリーズ商品で揃えられるのは魅力的だ。他にもROBOT魂シリーズなど数多くの商品がラインアップされている。

※現在は販売終了

 

 

PLAMAX 1/72 scale XD-01 ドラグナー1

https://special.goodsmile.info/plamax_dragonar1/

大張正己氏アレンジ版のドラグナー1を1/72のビッグスケールで完全再現! 各種武装やリフター、専用台座などが付属する。絶賛発売中!