調査研究局

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RESEARCH & INVESTIGATION DEPARTMENT

映像や設定資料を紐解いた研究成果や、作品をより深く理解できる研究記事を公開しています。

NEW サンライスロボット研究報告:コックピット編 第17回「ザンボット3」(『無敵超人ザンボット3』より)

第17回「ザンボット3」

 

 

 

◆コックピットに独自のギミックを持つザンボット3

 いわゆるスーパーロボットに区分される巨大ロボットは、その多くが異星のオーバーテクノロジーによって建造され、我々地球人類には理解しえない機構と理屈によって機動する。つまり内部機構そのもののビジュアルはわかっていても、それがどう機能するのかは不明というものである。それは劇中でもやや強引で大雑把な描写として現れるが、だからと言ってアニメマンガの世界として片づけられるような荒唐無稽なものではない。ザンボット3のコックピット構造はまさにそれで、合体変形メカの操縦席をどう処理するのかという問題に真正面から取り組み、ひとつの回答を示している。

 

ザンボット3、および各メカの対比図。対比の対象が家屋や自動車などであることからも、劇中におけるロボットのサイズ感を重視していたことがわかる。

 

 

◆ザンバード/ザンボ・エースのコックピット

 神ファミリーの住居兼移動要塞であるキングビアルに格納されている各マシンへの乗り込みにも詳細な設定がある。ちなみにザンバードはビアルⅠ世、ザンベースはビアルⅡ世、ザンベースはビアルⅢ世にそれぞれ搭載されているため、乗り込み方もそれぞれに設定されている。メインブリッジ(戦闘指揮所)に設けられた入口から専用のシートに乗り込み、パイロットはシートごと機体へのコックピットへと移動する。シートは各機共通となっており、機体内部に接続されると搭乗完了・発進となる。

 

 

(左)ザンバードへの搭乗から発進までの過程を表した詳細図。三隻の母艦がキングビアルへと合体してからも基本的にこのパターンを踏襲している。 (右)ザンバードからザンボ・エースへ変形する際のシート移動の詳細図。機首にあったザンバードのコックピットからシートのみが移動し、ザンボエースの頭部がコックピットとなる。ザンボ・エースのコックピットはザンブル、ザンベースと合体してザンボット3となってもそのままザンボット3の操縦席として使用される。

 

 

 

ザンバードのコックピット。機首となるのはザンボ・エースのつま先部分で、神勝平は左足に搭乗している。右足側のコックピットには愛犬である千代錦が乗る場合が多い。シートは、ザンバード、ザンブル、ザンベースともに共通となっている。設定画内にはザンボ・エースへの変形時にコックピットシートがどう移動しているのかの概念図が描かれている。下段はザンボット3、ザンボ・エース共通のコックピット設定画と美術ボード。

 

 

◆ザンブル、ザンベースのコックピット

 これら2機はザンバードのようにロボット形態への変形機構を持たないため、コックピットの移動ギミックなどは搭載されていない。またコックピット自体の構造も共通となっており、基本的な操縦方法にも大きな差がなかったのではないかと予想される。コックピットの位置はそれぞれ機体中央部分の機首のような形状のパーツであり、ザンボット3への合体時には機体内部に格納されて外部からは見えなくなってしまう。

 

ザンブル、ザンベース共通となるコックピット内部。

 

ザンブル、ザンベースへの搭乗過程、発進シークエンスの詳細図。それぞれ、ビアルⅡ世、ビアルⅢ世のメインブリッジから乗り込む。全機種共通のパイロットシートに座り、そのまま機体のコックピットに格納されるのはザンバードと同じである。

 

 

◆ザンボット3への合体

 ザンボ・エースで戦うことの多い勝平だが、いよいよとなればザンボット3へと合体する。だがここで、ザンボ・エースはザンバード形態になる必要があるのだ。合体するのに形態を揃える必要があるというのは面白いギミックであり、またある種の制約でもある。合体シークエンスは巨大ロボットアニメの見どころのひとつであり、毎週登場するためにバンクシステム(作画の使いまわし)をする重要なシーンである。これは作劇の裏側の話となるが、マシンのカタチを揃えることで合体シークエンスを美しく作画できるというメリットもあるのだが、やはりここは玩具としての合体メカの魅力を考慮したと考えるのが妥当であろうか。ともかく、ザンブルとザンベースのコックピットはザンボット3の胴体内に格納されるため、外部からの判別は不可能となる。ザンボ・エースのコックピットはそのままザンボット3のコックピットとなるため、勝平が搭乗しているのは頭部であると考えられる。

ザンボット3への合体シークエンス。設定がないため詳細不明ではあるが、神江宇宙太と神北恵子の搭乗位置はザンボット3の胴体内部でかなり隣接していると思われる。頭部、胸部、腹部という縦位置に並んでいると考えるとわかりやすいだろうか。

 

 

◆ザンボット3のコックピット総論

 『無敵超人ザンボット3』が放映された当時(1977年)の巨大ロボットといえば、とりあえず変形してたくさん合体しておけばOKというような風潮があった時代である。合体したらいつのまにかパイロットたちが頭部に集結していたり、合体した先の操縦席がとんでもない場所になっていたりという矛盾が生じることも多かった(※後年、富野由悠季監督はそうした矛盾を自身の作品内であえて描写してみせたが)。ザンボット3の合体・変形ギミックはそうした中ではかなり合理的な構造で考えられており、また合体時にはメカの形態を揃えることでケレン味を出すという演出上の巧みさも見せている。機体へ乗り込む際のアクションも含め、東映動画(現東映アニメーション)の制作による名作『超電磁ロボ コン・バトラーV』の成功へのオマージュも感じられる。共通しているのはメカニックデザイン(メカニック設計)にスタジオ・ぬえが参加している点で、コックピットへの乗り込みや機体内での移動などの設定はスタジオぬえによるものであることに注目すべきだろう。コックピット内では耐衝撃用として透明のエアバッグの描写もあり、時代を先行した設定が盛り込まれた意欲作であった。この時点から富野監督のリアル志向が垣間見えており、後に続く『機動戦士ガンダム』へと昇華されることになるのだ。

 ちなみにザンブル、ザンベースのコックピットは作画上の制約などからTVシリーズ本編では共通デザインとされたが、実際の初期稿には宮武一貴氏によってそれぞれのデザイン画が起こされていた。陸戦用のザンブルと、空戦用のザンベースの操縦席が本来同じデザインなわけがないのでは?と疑問に思っていたのだが、企画段階では別物として考えられていたことには納得である。

 

 

 

 

◇次回予告

短期集中にてサンライズ初期スーパーロボット作品のコックピットについての研究講座をお届け、次回「ダイターン3」へ編く。お楽しみに!

 

 

※参考資料

 

無敵超人ザンボット3 オフィシャルサイト

https://www.zambot3.net/

 

プレミアムバンダイ サンライズストア

https://p-bandai.jp/sunrise-store/?srsltid=AfmBOoryptROL3YPtljiWysJUMJJHfKv-fCXZ63PoEQ1VWrOE86GjaA6

 

プレミアムバンダイ内 ザンボット3関連商品

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〇サンライズ50周年プロジェクト 公式サイト
https://www.sunrise-inc.co.jp/50th/